「物を少なく」という行為にのみ焦点が当てられるミニマリストの悲劇

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「less is more」や「less stuff,more happiness」などで物を少なくすると言う行為にしか目が向かないことに対する悲劇を少し語ってみたいと思います。

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ただ物を減らせば幸せになるわけではない

誤解に基づく断捨離を決意し、ひたすらゴミ袋に物をぶち込みすっきりし、ある種の高揚感を感じることがあります。でも、これは僕に言わせれば薬でハイになっているのとそう変わらないんです。

おそらく、単純に物を減らすことに終始した方はまたウインドウショッピングに勤しみ、また折にふれて捨てる衝動に駆られることでしょう。なぜなら、根本に誤りがあるからです。

断捨離も「ただの片付け術ではない」と謳っている通り、見た目の一時しのぎの整理整頓を目的にしているわけではないのでしょう。

“less is more”もそうです。「より少なくはより豊かを」というスローガンだけを鵜呑みにするととんでもないことになることでしょう。

根本の誤りとは何でしょう。それは”あなたの行動にあなたの意思がないことです”

そもそも僕達の生活はどのようにして出来上がったのか

豊かとは満ちたりて不足のないさま(出典:デジタル大辞泉より)

誰が考えても”ない”よりは”ある”方がいいのです。この当然から出発しなければ上記で例に挙げた”less is more”などの逆説がわからなくなります。

僕らは明日のご飯もありつけないようなひもじい生活は望まないでしょう。雨露に晒される生活もごめんこうむり、暑さ寒さも出来れば避けたい。誰しもボロは着たくない。火のある生活を、電灯のある生活を望むことでしょう。

人類の一万年(それ以上)の歴史はその生活基盤の安定的供給を求める歴史だったことでしょう。僕の研究も一万年にまで言及できないところは悲しいことですが、おそらくそうだと推察しています。少なくとも古代ギリシャの時代からはそうであったようです。それは「国家」を少しでも紐解けばありありと記述されています。

現代はどこまで欲望に従えばよいのかと言う壁にぶつかった

孔子の過ぎたるは猶及ばざるが如しという言葉はまるでなかったように、戦後我が国では高度経済成長に付随して目立った形で日常の効率化に着手します。三種の神器、新幹線開通がその象徴でしょうか。

これは日本国民に多大な資産として今も活用され、生産性が飛躍的に向上しました。バブルを迎え崩壊し、デフレへと突っ込み今に至ります。

求めることを満たすだけでも精一杯だった文明は今や満たすだけでは飽き足らない文明へと変貌を遂げたのです。

そういった経緯を経た世界に僕らは生まれて来たことを、ミニマリストだのと口にするのであれば、考慮にいれる必要があるでしょう。そうでなければ、冒頭に述べた勘違いに陥ってしまうからです。

満たすだけでは飽き足らない環境で育った僕たち

僕は勤めで一時期チャイナから輸入したバッタモンを販売していた事があります。その時始終感じていたことは重箱の隅をつつく浅ましさでした。

比べてみて欲しいのですが、このパン一斤あれば明日をしのげるという恩恵とこの機材を使えばデータを楽々スマホへ移動できるという恩恵は等価でしょうか。僕の価値観では否です。ですが、世の中は後者の物品の価格の方が高価なのです。その価格差はどこからやってきたかと言えば、新しさです。しかし、新しさは僕たちに何か恩恵を与えるのでしょうか。

こういった恩恵の大小は全ての物同士に存在します。僕たちは本来所有しようと思うのであれば、その全てを比較検討しなければなりません。

しかし、その検討を他人にゆだねているのが現状でしょう。ある人は電車の中吊り広告で、またある人は雑誌の文句で、またある人はセールと称する一時の価格変動によって、そしてまたある人は他人の噂でその購入を決断しています。

どこに問題があるかと言えば、決断を他人に任せていることにあると僕は考えています。”less is more”という逆説はその警鐘の表れではないでしょうか。僕はそう考えています。

結論。ミニマリストは「物が少ない人」ではなく「物を厳選した人」である

しかし、考える葦である。

ブレーズ・パスカルの言葉です。人は考えるから強くなるのです。本来であれば、家族のこと、友人のこと、知人の、自治体の、国家のことまで考えるべきでしょうが、最低限、自分のことは自分で考えると言う毅然とした態度は保ちたいものです。

現代人は”考えさせられる”とはよく口にしますが、自ずから”考える”と言った積極的な口調は減ったのではないでしょうか。

考えるとは非常に多くの意味を内包しています。決断もその一つです。

自分で考えたことに自分を従えさせることは幸せの一要素なのではないでしょうか。

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